九州メディカル

オフィスのリノベーション
有機的な要素を用いて
雑貨店のようなエントランスで街とのつながりを持ち
多様な個人が活躍する会社の多様な場所を作った

10店舗の調剤薬局を運営する企業のオフィスはマンションの1階にあり、幅7.5メートル×奥行13メートル×3スパンという空間であった。クライアントは「本物づくりで健やかづくり」という社是をかかげ実直な経営者であることから、「誰でも気兼ねなくすごせる風通しの良い空間」を前提に設計を始めた。まずは空間を小さく仕切っていた壁を可能な限り撤去しワンルームに近づけた。空間構成は「カフェ、レスト、ラボ」の3つから成り、それぞれを性格の異なる空間にデザイン。

「カフェ」は働く場と休憩の場が同居するため、ソファー席やテーブル席といった多様なシチュエーションに対応した家具を設置、一部の床を上げることで日本古来の土間と和室の関係を生み出した。通りすがりに腰掛けて雑談をしたり、靴を脱いでくつろげるエリアでは少し横になったり、一人席では仕事をしたりと豊かな空間として機能した。床上げ部分は天井を排除しリズミカルな木製ルーバーを設置することで圧迫感を排除し空間に明るさを与え、働く場と休憩の場ともに落ち着ける場であって欲しいことから人間の本能に訴えかける赤土をイメージした色で仕上げた。
「レスト」は更衣室、仮眠ブース、処方箋収納の静かな空間とした。処方箋の山の片隅に並べられた仮眠ブースは空調の効いた室温と同期させるため天井はないが周囲からはのぞけない間仕切りの高さとした。
「ラボ」はエントランス、執務室、社長室がワンルーム空間に配置されコミュニケーションのとりやすい風通しの良い空間にすることができた。エントランスには陳列棚を設置し自社で製造販売しているオーガニックグラノーラの販売を目指している。

3つのスパンが完全に区切られた空間のリノベーションであったが「カフェ」は働く場と休憩の場が、「レスト」には休憩の場と収納が、「ラボ」には雑貨店と働く場が、それぞれに同居することによってお互いに影響を与え合い創造されていく。今後の変化に期待したい。

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